蔡英文総統は28日、台湾南部・高雄市の阿蓮区にある石安牧場を訪問、「新農業」、「循環型経済」、「再生可能エネルギー」の3つの政策を結集した企業の手本だと強調した。蔡総統はそして、これら3政策合体の推進が台湾の畜産業を変革し、畜産業を現代の求めるものに変貌させると期待を寄せた。
蔡総統は、視察を通じて重要な3政策が1つの企業体に結集している姿を目にしたと感想を述べた上で、「新農業」の面では高度な技術化と精密な設備、密封型の飼育により高品質で付加価値の高い鶏卵を生み出していると指摘し、これこそ「新農業」の典型だと評価した。蔡総統は、同牧場では全てのプロセスにおいて非常に厳格な管理がなされ、ニワトリの健康と鶏卵の品質を確保していると強調した。
同牧場ではニワトリのフンやその他の廃棄物を利用したバイオマス発電を行っている他、液体肥料も生産して付近の農家に提供している。これにより同牧場ではCO2の排出量を93%減らしているとのことで、蔡総統は、驚異的であり敬服すべき数値だと絶賛。同牧場は電力の65%を自家発電でまかない、残りの35%は台湾電力株式会社から購入している。蔡総統はこれについても大変成功しているケースだと評価、台湾の農業が、高品質かつ衛生的で安全な農産物を確保する一方で、ニワトリのフンなど廃棄物を利用した発電や液体肥料の生産も可能といった方向に進んでいくことを希望した。蔡総統は、この過程には「再生可能エネルギー」と「循環型経済」が存在し、一種の手本であると指摘、将来はブタ、ニワトリ、あるいはその他の形態の牧畜に関わらず、3政策が1つになった形が推進していけるよう願った。
台湾の養豚業では早くから100万頭のブタが飼われており、バイオマス発電が可能な規模にある。蔡総統は、行政院農業委員会(日本の農水省に相当)の計画を今後も推進していくことで、台湾における養豚農家の設備並びに全体的な環境を出来る限り早く改善する考えを示した。また、中小規模の畜産業者では石安牧場のような大規模な作業ができないことを考慮し、農業委員会では地区ごとに処理センターを設けてこれら中小の畜産農家を支援する計画。今こそ台湾農業の変革期だとする蔡総統は、畜産業から生まれる大量の廃棄物の問題、並びに農産物の安全性は政府が長期にわたって関心を寄せている問題だとした上で、3政策合体方式を継続することで、台湾の畜産業は必ずや変革を成し遂げ、現代が求める畜産業へと生まれ変わるだろうと期待する立場を示した。